2020年2月6日
日本自治委員会事務総局情報局
局長 上原 瑞貴
1.概要
日本自治委員会が、都立学校に対する宣伝キャンペーン「とうきょうトリエンナーレ」の一環として、東京都立南平高等学校前の公道上で宣伝活動を行っていたところ、同校の複数の教職員が活動員に対して「邪魔」等の発言を繰り返したり、警察官の臨場要請を示唆したりするなどして、当自治委員会の宣伝活動を妨害しました。
(1) 2020年2月3日午前7時35分、登校指導を行っていた中高年男性教職員Aが活動員に対し、「敷地の近くでやると迷惑になるので避けていただければと思う」等と発言し、校門前での配布活動についてやめるよう執拗に求めた。
(2) 同日午前7時44分、教職員Aが再び活動員に対し、「校門前だと邪魔」という旨の発言を行い、執拗に校門前から離れるよう要求し続けた。
(3) 同日午前8時41分、教職員Aが活動員に対し、「いつになったら帰るのか」と活動員の撤収を暗に要求するなど、妨害的言動を行った。
(4) 同年2月5日午前7月53分、別の中高年男性教職員Bが活動員に対し、「今日はお客さんがたくさん来る。本当に迷惑だからちょっと寄ってくれる」等と発言し、執拗に校門前から離れるよう要求し続けた。また、これに際し、「道路交通法とか難しいこと言わないで」と発言した。これについて、活動員が当自治委員会の連絡先に対して問い合わせるよう求めると、教職員Bは「近所迷惑だ」などと話の腰を折る発言を繰り返した。また、具体的なデシベル数を計測したのかを問うた活動員に対し、教職員Bは「難しいこと言うのやめてもらえる?」と発言した。
(5) 同日午前8時12分、別の中高年男性教職員Cが活動員に対し、「警察に連絡します」などと警察の臨場要請を示唆する発言を行った。
2.日本自治委員会の見解
複数の教職員が、活動員に執拗に話しかけ続け、活動員の配布活動を妨害した行為は、言論・表現活動を不当に妨害する行為であり、公務員による不当な公権力の行使です。これは、憲法第21条が定める表現の自由を侵害する行為であるとともに、憲法第99条が定める公務員の憲法擁護義務にも反する行為です(別記参照)。
当自治委員会活動員は、登校及び入学願書の受付に支障をきたすような宣伝活動は一切行っていません。また、この宣伝活動は、道路交通法第77条が定める警察署長の許可が必要な事項(別記参照)にも該当しません。よって、上述の教職員らによる「迷惑」「邪魔」等の発言は、いずれも事実に反するものであり、これらの発言を活動員に対して執拗に行った行為は、活動員に対する侮辱行為と言うほかありません。
教職員Bによる「道路交通法とか難しいこと言わないで」という発言は、我が国の法治主義を軽視するものであり、公務員として極めて不適切な発言です。また、同教職員による、具体的なデシベル数等のデータに基づかず「近所迷惑だ」と繰り返し発言した行為、ならびに具体的なデシベル数を計測したのかを問うた活動員に対し、「難しいこと言うのやめてもらえる?」と発言した行為は、主観的な憶測に基づき活動員を侮辱する行為である上、客観的事実に関する説明責任の放棄に等しい行為です。
教職員Cによる、「警察に連絡します」という発言は、公務員が警察力を用いて配布活動を弾圧することを示唆し、市民の表現活動を萎縮せしめようとする、明らかな脅迫行為です。
日本自治委員会は、東京都立南平高等学校によるこれらの不当行為・違法行為について抗議するとともに、同校当局及び東京都教育委員会に対し、謝罪と再発防止を要求いたしました。
3.別記
●日本国憲法第21条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
●日本国憲法第99条
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
●道路において警察署長の許可が必要な事項(道路交通法第77条より)
一 道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人
二 道路に石碑、銅像、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けようとする者
三 場所を移動しないで、道路に露店、屋台店その他これらに類する店を出そうとする者
四 前各号に掲げるもののほか、道路において祭礼行事をし、又はロケーシヨンをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為で、公安委員会が、その土地の道路又は交通の状況により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めたものをしようとする者
(担当) 日本自治委員会事務総局外務局外務第二課東京ブロック担当
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