目黒区立第九中学校
ビラまき弾圧事件特設ページ
(2021年9月30日最終更新)
このページでは2020年7月8日午前8時に発生した、日本自治委員会活動員・Iさんのビラ配布活動に対する目黒区立第九中学校副校長・高橋秀一(55歳)および警視庁碑文谷警察署(署長 瀧口知之)による不当逮捕・勾留事件に関して経緯・現状等を詳細に掲載します。なお、掲載内容は情勢変化により随時更新いたします。
更新情報
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「目黒区議会の反応」を更新しました(2021年9月30日)
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「目黒区教育委員会の反応」「目黒区議会の反応」「目黒区選出の東京都議会議員の反応」「2021年東京都議会議員選挙における争点化」項を新設しました(2021年8月13日)
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各種情報の追記・整理ならびにお問い合わせ先の変更を行いました(2021年6月20日)
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本件関係者人物情報を公開しました(2021年5月13日)
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新たに5項目を追加しました(2021年3月15日)
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いくつかのページをサブページに分割しました(2021年1月9日)
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2020年7月7日および同月8日の報告書を公開しました(2020年8月30日)
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目黒区立第九中学校ビラまき弾圧事件特設ページを開設しました(2020年8月12日)

▲目黒区立第九中学校
事件の経緯
2020年7月8日、日本自治委員会校民防衛隊東京方面隊員・Iさん(現役高校生/以下「Iさん」)が目黒区立第九中学校(以下「目黒九中」)の正門から40~50m程度離れた公道上において、東京都立小山台高等学校の水泳授業強行を批判するビラ「寒くても コロナ禍でも(未遂) プール強行!」を配布していたところ、目黒九中の副校長・高橋秀一(当時55歳)(以下「高橋」=画像=)がわざわざIさんのもとにやってきて、執拗につきまとう、ソーシャルディスタンスを確保せずに迫るなどの行為を繰り返し、ビラ配布をやめさせようとした。

▲目黒区立第九中学校副校長・高橋秀一(7月7日・校民防衛隊東京方面隊撮影)
Iさんはこの状況下ではビラを配布できないと考え、一旦配布を中止し、現場を離れた。その後Iさんは再度配布を試みようとしたところ、高橋が再び妨害してきたため、妨害の様子を「表現の自由への侵害行為」の証拠として保全する目的で、携帯電話で撮影しようとした。しかし、高橋は撮影をやめさせようとして手で遮ったり、Iさんを怒鳴りつけるなどの行為を行い、「おい、いい加減にしろよ、こら」と近づいたり、「自分の姿、鏡で見てみろよなあ。まったく情けない」と侮辱する等の行為を行った。そして午前8時ごろ、わざと携帯電話でぶつかる行為に及んだ。この際、高橋は「痛ってぇ。いててて。」「ぶたれたんだよ、携帯で」などとわざとらしく発言しながら、警察に電話で「Iさんが携帯電話で高橋を殴打した」と虚偽の通報を行い、警察の臨場を要請した。
事件の時系列の流れ
Iさんの被疑事実(逮捕・勾留の理由)
勾留状によれば、Iさんの被疑事実(逮捕の理由)は高橋に対する「公務執行妨害」(刑法第95条第1項)となっている。前項でも記した通り、事件現場は目黒九中の敷地内ではない公道上である(※2)。勾留状によれば、目黒九中の職員証を首から下げた高橋は、目黒九中付近を巡回し、Iさんにビラまきを「注意」したのだという。その際、Iさんが携帯電話で高橋を撮影しようとしたため、高橋がIさんの携帯電話を手で遮ったというのだ。その際にIさんが高橋を殴打したとされる。しかしThe Interschool Journalの報道で公開された現場映像では高橋が執拗にIさんを追いかけまわし、自らぶつかりに行く動作が記録されている。
※2…7月17日に行われた勾留理由開示公判において佐藤薫裁判官も認めているほか、警視庁碑文谷警察署の松本俊彦副署長も「校門から約4,50m離れた公道上」と認めている。
Iさんの現状
逮捕以降、Iさんは警察官・検察官の取り調べに黙秘。7月10日付で東京地方裁判所裁判官・向井志穂が勾留状を発付し、7月8日の逮捕に引き続き、7月17日まで身柄を拘束されることとなった。その後、7月17日付で東京地方裁判所裁判官・島田一が勾留延長の決定を発付した。なおIさんは、7月28日午前8時過ぎ、Iさんは処分保留で釈放され、9月25日付で不起訴となった(東京地検は処分理由を明らかにせず)。
◇長期勾留の理由「黙秘しているから」(碑文谷警察署副署長)
勾留が続いている理由について、警視庁碑文谷警察署副署長・松本俊彦は東京新聞の取材に対し、「(Iさんが)黙秘しているから勾留している」(7月18日付東京新聞第24面「こちら特報部」「軽んじられる表現の自由」)と、Iさんの黙秘権行使が長期勾留の理由であることを認めている。また、同副署長はThe Interschool Journalの取材に対し、「黙秘をするとこれは罪証隠滅の恐れになると警察では判断せざるを得ない」と回答している。
また、7月17日に東京地方裁判所第429号特別警備法廷において行われた勾留理由開示公判(裁判)において、佐藤薫裁判官は、Iさんを勾留している理由について、弁護団の求釈明に対し「具体的な証拠にかかわる」などとして回答をほとんど拒否し、全く勾留理由の開示を行わなかったほか、黙秘も含めて総合的に勾留を判断したと説明した。
被疑者が自らの利益・権利を守るために黙秘するのは当然の権利であり、黙秘権行使を理由に長期にわたって被疑者の身柄を拘束し、人身の自由を奪うことは明らかな人権侵害である。
◇家宅捜索で事件に関係ないビラ押収
このほか、7月14日に、警視庁碑文谷警察署警備課警部補・野澤健の指揮でIさんの自宅を家宅捜索し、事件に関係のないビラ等26点を押収するなど、公安警察的な情報収集目的での不当な権力行使が行われている。
松本俊彦副署長はThe Interschool Journalの取材に対し、この押収の理由について「黙秘をされて全然捜査が進まないということ」と弁明している。
救援活動
7月8日にIさん本人の要請で初回の弁護士接見が行われ、翌9日以降、土田元哉弁護士らが接見に入るようになった。その後、土田、奈良泰明、吉田哲也各弁護士により弁護団が結成された。また、7月9日未明に日本自治委員会内に救援対策本部を設置し、平松けんじ議長が本部長に就任。7月10日には平松救援対策本部長が文部科学省12階で記者会見を、7月12日には平松救援対策本部長と新議長が報告集会を実施するなどメディア発信を強化し、東京新聞特報部などの取材を受けた。7月17日には勾留理由開示公判が東京地裁429号特別警備法廷で行われることとなったため、この公判の直前に東京地裁前においてIさん激励&警察・検察・裁判所への抗議行動を実施。その後も7月22日に警視庁碑文谷警察署前においてIさん激励&抗議行動を実施した。日本自治委員会救援対策本部・Iさん救援会・弁護団で連携しながらIさん解放に向け、救援活動に取り組んだ。その後、Iさんは7月28日に処分保留で釈放、9月25日付で不起訴となった。
疑問点・問題点
本件に関する疑問点・問題点は次の通りである。
◇そもそも公道上のビラまき「注意」は適法な公務と言えるのか
公道上でのビラまきは、「表現の自由」として日本国憲法第21条で保障されている。このビラまき活動に対する「注意」(7月7日報告書の内容および上記の動画をご覧になっていただければ分かるが明らかな妨害行為)は、公務員による「表現の自由」に対する侵害行為であり、当然憲法違反であるから、適法な公務ではないだろう。つまり高橋の行為は違法・違憲なものであり、当然公務として認められるものではない。
また、萩生田光一文部科学大臣も、7月31日の記者会見でThe Interschool Journalの質問に対し、「校外でビラを配布すること自体我が国は別に規制されるものではない」「基本的に学校外で行われていることに学校の先生方が直接関与するというのは実際にはあり得ないんじゃないかな」と述べている。
◇不当逮捕前日の高橋・片柳の発言との矛盾
高橋や目黒九中校長・片柳博文(以下「片柳」)は、事件前日にもIさんのビラ配布活動を妨害しているが、その際に彼らは「業務じゃありません」云々話していたという(校民防衛隊7月7日付報告書)。この発言の記録を見る限り、彼らの公道上の巡回活動は「業務ではない」=「公務ではない」ということになる。だとしたらなぜIさんは「公務執行妨害」で逮捕・勾留されているのだろうか。
◇警察臨場まで身柄拘束なしの「私人逮捕」の怪
今回の事件では高橋が午前8時ごろにIさんを「私人逮捕」(現行犯逮捕の場合、一般人も逮捕権がある)し、警察に引き渡したことになっているが、松本俊彦副署長はThe Interschool Journalの取材に対し、Iさんが高橋による身体的拘束を受けておらず、自主的に現場にとどまっていた旨話している。松本副署長によると、暴行があったという訴え出があった時点で、取り押さえていなくても私人逮捕は成立するとのことであった。
